筋膜リリースとは

非対称な姿勢や動作をとり続けることや同じ姿勢を長時間とり続けること、怪我などによって身体の一部に負担がかかり、身体がアンバランスな状態となると筋膜が自由に動けない状態になります。すると筋膜のよじれが生じて筋膜と皮膚・筋肉との間の滑らかな滑りが失われます。

筋膜のよじれができると、コラーゲン繊維とエラスチン繊維が一部により集まり、本来はサラサラの状態が粘っこくなってほどけなくなります。

筋膜は全身につながっているので、ほかの筋肉や筋繊維にまで動きの悪さが波及し、痛みや筋力の低下、柔軟性の低下、運動パフォーマンスの低下、日常生活活動の低下がみられるようになります。

筋膜のよじれやねじれを解消して、正しい筋と筋膜の伸長性と筋肉の動きの回復を促すのが筋膜リリースです。 筋膜リリースはストレッチのようにある一定の方向に伸ばすのではなく、筋膜をさまざまな方向に解きほぐしていくことです。

筋膜リリースの効果

本来は理学療法士などが筋膜リリースを施術し、その後の効果を持続するために自分で行える筋膜リリースが指導されますが、日常的な姿勢や動作のとり方による身体の動きの硬さや肩や首の凝り感、腰痛、むくみ、バストアップなどの改善には自分で行う筋膜リリースでの改善が期待できます。 自分で筋膜リリースを実施することで身体のバランスが整い、身体が軽く感じられるようになります。継続することで身体の良い状態を保てるようになり、身体が動きやすくなっていくのでセルフコンディショニングとしても活用できます。

 

筋膜リリースの方法

筋膜リリースは自分の身体の硬い部分、伸びにくい部分を感じとり、ゆっくりと呼吸しながら行います。一部分により固まったコラーゲン繊維とエラスチン繊維を解きほぐしていくのですが、解きほぐれるまでには時間を要するので無理せずに痛みを出さないようにしてゆっくりと伸ばしていきます。最初は20秒~30秒から始め、90秒以上4)行えるように慣らしていきます。

猫背・肩こり、二重あごの改善に効果的な筋膜リリース

椅子に座り、背中が丸まらないように注意して肩甲骨を前に押し出すように両手を肩の高さで前に伸ばします。20秒数えます。

肩の高さから両腕を下げないように平行に保ちながら、両肘を後ろに引いて20秒数えます。

肘の高さは保ったまま両手の手のひらを前に向けるように肘から上を上に上げていきます。腰が反らないように、顎が上がらないように注意して20秒数えます。

首のこり、肩こり、腰痛の改善に効果的な筋膜リリース

立って右腕を上に上げて肘を直角に曲げます。左腕は左肘を直角に曲げて左手の甲を腰の後ろにあてます。

両肘を直角に保ったまま、両方の肩甲骨を反時計回りに回すように動かして20秒数えます。

右足を左足の前に交差させて、右のわきを伸ばすように左に身体を倒して20秒数えます。

鼻を左肩に近づけるように顔を向けます。右肘が前に引っ張られないように注意しながら20秒数えます。

腰痛の最大の原因として、長年続いた悪い姿勢や無理な動きがあります。猫背などの不良姿勢がひどくなると、腰痛だけでなく首こり、肩こり、偏頭痛、胃下垂、肺活量の低下からうつ病などまで、さまざまな不調を引き起こします。

腰痛は座り姿勢はもちろん、左右のどちらかの足に重心をかける立ち姿勢のクセによる骨盤のゆがみや位置のズレなどによっても引き起こされ、慢性化します。30代後半から低下する筋力とともに、腰痛の原因となる猫背も進みます。

まさに猫背は万病の元。腰痛を治すためには、まずは猫背などの不良姿勢を正すことです。そうすれば腰痛のみならず、カラダのさまざまな不調も改善されます。

筋膜は5つある

ヒトの筋膜は実はひとつではなく、「浅筋膜(せんきんまく)」「深筋膜(しんきんまく)/腱膜筋膜(けんまくきんまく)」「筋外膜(きんがいまく)」「筋周膜(きんしゅうまく)」「筋内膜(きんないまく)」の5つからなっています。浅筋膜は皮下組織にあり、深筋膜は全身の筋肉をつなげてボディスーツのようにすっぽりと包み込み、筋外膜はひとつひとつの筋肉を包み、筋周膜と筋内膜に連続しています。

さらに筋周膜は筋束を、筋内膜は筋線維1本1本を包み込んでいます。この筋膜は頭から手や足の先まで全身につながり、筋膜以外を溶かしてもカラダの形が残るということで「第2の骨格」ともいわれる重要な存在です。筋肉を正しく動かすためには、これら筋膜が柔軟に動くことが必要なのです。

筋膜のよじれやこわばりが、こり・はり・痛みの原因に

 

悪い姿勢や、同じ作業を繰り返すなどの偏った動作を長時間続けていると、不必要な負担がカラダの一部分に集中して筋肉が固まり、それにともなって筋膜も自由度を失います。そうなると筋膜はよじれてこわばり、筋膜の上にある皮膚と筋膜の下にある筋肉がそれぞれ動きづらくなります。

つまり、ひとつの筋肉を包む筋外膜に問題が生じるとその上にある全身の筋肉を包む深筋膜に波及し、深筋膜のつながりを介して他の筋肉へ問題が伝播していきます。

その結果、その配列上のすべての筋膜の動きや働きに影響をおよぼして十分な筋力を発揮できなくなり、柔軟性も悪くなって、スポーツではパフォーマンスの低下を引き起こします。そのことが、ひいてはケガを引き起こす要因ともなります。

また、そうした筋膜のよじれやこわばりは、カラダのこりやはり、痛みの症状にあらわれます。この筋膜の機能異常の厄介な点は、その異常を他の部分でかばおうと代償を生じさせること。ある部分の筋膜のよじれやこわばりが深筋膜から広範囲に広がってしまうことで筋膜自体が自力でほぐれることができなくなり、正しい姿勢や動作が制限されてしまうのです。

ねじれた筋膜をほぐす!

筋膜を構成するコラーゲン線維とエラスチン線維は、悪い姿勢や長時間の同じ姿勢を続けることで一部に寄り集まり、交差してねじれが生じます。カラダを動かしてゆっくりとこのねじれを解きほぐしてあげましょう。

筋肉が正しくスムーズに動くようになる!

筋膜のねじれやよじれが元に戻ると、筋肉や筋繊維を包む筋内膜に柔らかさと弾性が復活。本来備わっていた筋力が発揮でき、正しく動けるカラダにリカバリーされます。

コリがほぐれて動きやすくなる&コリにくいカラダに!

筋膜リリース後にこりや痛みの軽減を感じたら、筋膜がリリースされた証拠。これを2週間続けることで筋力の向上や柔軟性の回復、運動パフォーマンスアップなどが期待でき、こりにくいカラダにも。さらに2週間継続することで、まわりの人もその効果に気がついてくれるようになります。